経営再建中のシャープは25日の臨時取締役会で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が提示した巨額の支援案を受け入れることを全会一致で決めた。鴻海から4890億円の出資を受ける。鴻海は全株式の約66%(議決権ベース)を持つ親会社となる。創業100年を超える老舗企業が、売上高15兆円を誇る巨大外資の傘下で再生を目指す。電機大手が外国企業に買収されるのは初めて。
シャープの技術やブランドと、鴻海の世界的な販売・調達網を組み合わせ、相乗効果を狙う。シャープは鴻海から雇用を原則維持するとの約束を得たと説明している。
一方、鴻海は25日、シャープへの出資に関し、調印を保留すると発表した。関係者によると、シャープが業績悪化につながる内容を含む文書を送ったため、鴻海が精査している。
シャープは、液晶の分離など「解体」を視野に入れた政府系ファンドの産業革新機構の案に対し、雇用や事業の維持を掲げた鴻海案の方が再建につながると判断した。