環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加12カ国は5日、英語表記の協定文案を全文公表した。日本は、米国やオーストラリアなど5カ国との間で、協定発効から7年後に関税の撤廃や削減について、相手国からの要請に基づき再協議すると規定した。再協議によって、関税の撤廃時期が早まる可能性も否定できず、農林水産業従事者からの反発が強まる恐れがある。野党からの追及も必至で、来年の通常国会における承認手続きにも影響しそうだ。
協定案は関税撤廃の取り決めを含む「市場アクセス」や、著作権や特許権の制度を統一する「知的財産」など全30章で構成される。TPP参加12カ国が、事務レベルで細かい表現を調整する作業を進めている。
ルール分野の見直しも規定した。主に米国やオーストラリアなどの連邦制国家が、州政府単位の貿易開放が困難だと主張したことを受けて設けた。政府調達では発効後3年以内、国有企業改革では5年以内に追加的な交渉を行うと規定した。
関税の再協議で日本は米国、オーストラリアに加え、カナダ、チリ、ニュージーランドの5カ国との間で相手国からの要請に基づき協議すると規定した。輸入が急増した際に関税を引き上げる緊急輸入制限(セーフガード)などが主な見直しの対象となる。