≪伝統に培われた技を新しい発想に生かすと「ものづくり」の可能性が広がる≫
桜前線が通り過ぎると、岩木山の麓は白く可憐(かれん)なりんごの花で覆われます。青森県は日本海、太平洋に接し、鍵のような半島や山々など多彩な地形を持つ、山海の幸に恵まれた土地。観光地としての魅力はもちろんのこと、りんごなどの果実、農産物や海産物、その加工品などは全国各地へ届けられています。その一方で産業や雇用の低迷など多くの課題を抱えており、県をあげてさまざまな取り組みを続けています。
今回は、社会福祉の現場から障がい者雇用の実現へ向けて、産学官連携のプロジェクトとともに津軽ならではの地域活性を目指す、三浦和英さんを青森県弘前市に訪ねました。
全国屈指の生産量を誇る青森のりんごの約20%はジュースなどに加工されています。生産量の増加とともに、加工用りんごの残渣(搾りかす)の有効活用は県内でニュースに取り上げられるほど。年間1万4000トン、残渣の約70%が有料廃棄されていた状況を受け、2008年頃より青森県産業技術センターはこの有効活用に取り組んでいました。