卑劣な犯行が日本に衝撃を与えたイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人人質事件は、フリージャーナリスト、後藤健二さんの「殺害」という最悪の結末を迎え、8日で1週間が経った。テロとの戦いは、たとえ人道支援だとしても、国際テロの標的になる新たな局面に入ったのか。身代金や身柄交換要求でいや応なく突き付けられた「命の重さ」。国家として救出責任をどう果たすべきかでも揺れ続けた。問いは安倍晋三首相、政府だけでなく、国民に重くのし掛かる。経過をまとめた。
昨年8月に一報
政府は昨年8月中旬、湯川遥菜(はるな)さんがシリア北部でイスラム国に拘束されたとの情報を受け、隣国ヨルダンにある大使館に現地対策本部、官邸に情報連絡室をひそかに設置した。
首相は情報収集を指示したが、湯川さん拘束情報や安否の確認は難航した。イスラム国は米軍が空爆対象とする過激派組織で、日本との接点は「皆無」(外務省筋)。警察当局と連携したが「芳しい成果は得られなかった」(外務省筋)という。