米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」が独占禁止法に違反しているとして、購入者が3億5000万ドル(約409億円)の損害賠償を求めた集団訴訟で、カリフォルニア州連邦地裁の陪審団は16日、原告の訴えを退ける評決を下した。
アップル勝訴の決め手となったのは、共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏が2011年10月に56歳で亡くなる半年前に撮影されたビデオ映像。法廷で再生され、異例の「死後証言」として認められた。カリスマ経営者の慧眼(けいがん)によって残された“遺言”がアップルを救った。
「ソフト更新しすぎ」
この集団訴訟は、アイポッドの購入者である原告団が、アップルの音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」でしか楽曲を購入することができず、競合他社の配信サービスが排除されており、独禁法に違反するとして05年1月に起こした。証拠集めなどを経て今年12月にようやく審理が始まり、06~09年にアイポッドを購入した消費者約800万人が原告となった。