しんと静まりかえっているようでも、秋の夜空は光に満ちている。材木座海岸に近い浄土宗大本山光明寺の裏山から、渡辺照明記者が30分かけて撮影した、その見事な輝きをご覧いただこう。
星降る大空。直線を描く飛行機の航跡。その下には大きく旋回するヘリコプターの跡。慌ただしい日々の生活を抜けだして夜の海と空に対峙する。
わずか30分の間、じっと待っていることで、日常の静と動が、これほどにもくっきりと描かれる。海岸線を彩る人工の光にも、胸が締め付けられるようないとおしさを覚える。これもまた、秋という季節のなせる技なのか。
光明寺は鎌倉時代の寛元元(1243)年創建と伝えられ、秋のお十夜法要には境内がたくさんの人と露店でにぎわう。
中世の物流拠点として栄えた往時の材木座では、大小の船が、広壮な山門を見上げつつ、港に入ったのだろうか。現在の山門は幕末の弘化4(1847)年に再築されたものだが、いまなお間口約16メートル、奥行き約7メートル、高さ約20メートルの威容を保っている。