「患者一人一人にあわせたオーダーメードの医療、介護が提供できるようになればいい」。日本医師会と産経新聞社が主催する第3回「日本医師会 赤ひげ大賞」の5人の受賞者の一人、西島公子医師が語った言葉だ。
赤ひげ大賞は、地域で献身的な医療活動に取り組む医師を顕彰する制度。東京都町田市で33年間、地域の「かかりつけ医」を続けてきた西島医師の言葉は日本の「家庭医」制度の立ち遅れを改めて指摘することにもなった。
医療費の増加や超高齢社会を背景に予防医療や介護・福祉と連携した包括ケアの重要性が認識されるようになり、厚生労働省は2017年度から日本版家庭医制度となる「総合診療医」の専門教育を始めることにしている。
英国などの家庭医制度を参考に、幅広い医療の知識を持ち、地域住民の病気予防や健康管理に重点を置いて活動する医師養成を目的とする試みだ。
例えば、血圧が高く、腰や膝も痛い、狭心症の症状もあるなどの高齢の患者の場合、今の日本の現状はそれぞれの専門医が血圧の薬、痛み止めの薬、心臓の薬などを処方している。その結果、複数の薬の副作用の相互作用で新たな別の病気をつくる悪循環が起きかねない。