日銀は31日、金融政策決定会合を開き、市場への資金供給量を現行の年間60~70兆円から80兆円に拡大する追加の金融緩和を決めた。4月の消費税率引き上げから物価上昇率が伸び悩む中、黒田東彦(はるひこ)総裁(70)は「デフレ脱却に向けたプロセスにおいて、今がまさに正念場」と述べ、追加緩和の意義を強調した。
追加緩和は、長期国債の購入を年間50兆円から80兆円に増やすことが柱。このほか、株価に連動する上場投資信託(ETF)を1兆円から3兆円に、不動産投資信託(Jリート)も現在の約3倍にあたる約900億円にそれぞれ増やす。
日銀は増税前の駆け込み需要の反動減の影響が想定以上に長引いていることに加え、原油価格の大幅な下落が物価の下押し圧力になっていると判断。その上で、黒田総裁は「デフレマインドに戻るとこれまでの成果が減ってしまう」と懸念を表明。これらのリスクが顕在化するのを未然に防ぐため、追加緩和に踏み切った。
追加緩和の規模について、黒田総裁は「相当思い切った拡大」と述べ、デフレ脱却を後押しする効果に期待感を示した。
日銀は経済・物価情勢の展望(展望リポート)を併せて発表。それによると、2014年度の経済成長率見通しを7月時点の1.0%から0.5%に、15年度の物価上昇率見通しを1.9%から1.7%にそれぞれ引き下げた。