2014.9.28 09:05
米映画サウンド・オブ・ミュージックのモデル=トラップ家の次女が2月、99歳で逝去、映画で描かれたトラップ家の両親・兄弟姉妹は全て亡くなった。父トラップ氏はオーストリア(墺)の海軍大佐役で、内陸国に海軍とは-と思う向きもあろうが、映画は墺=ハンガリー帝国(1867~1918年)時代が舞台で、アドリア海沿岸も領した当時は海軍を有していた。
ゲオルグ・フォン・トラップ氏(1880~1947年)は第一次世界大戦(1914~18年)で潜水艦艦長を務めた実在の英雄。実際の階級は少佐ではあったが、退役後の1938年、祖国がドイツに併合されるや、ナチス独旗掲揚も独海軍の召集も拒絶し国外脱出するなど、その人生は比較的映画に近い。しかし、大方の墺人の生き方はトラップ氏とは違った。
ナチスを歓迎した国民は多く、為政者も総統アドルフ・ヒトラー(1889~1945年)の恫喝に屈した。わが国でも中国に過剰にすり寄り、間違ったシグナルを送り、国益を侵す経済人や政治家、官僚が跋扈する。隣接する敵性独裁軍事大国・中国への毅然かつ巧妙な外交姿勢+外交を支える軍備を怠れば、オーストリアと同じ国運をたどる。