やるべき作品だと思った
緊迫した情勢が続く中東、1970年代半ばに始まったレバノン内戦に題材を得た「炎 アンサンディ」が9月28日からシアタートラムで上演される。麻実(あさみ)れいが、衝撃的な過去を持つ主人公の女性を10~60代まで1人で演じ、相手役となる岡本健一(45)は6役を演じ分ける。終わりの見えない民族間の争いが続き、人間的な最低限の生活が保証されない状況のもとで愛や憎しみが交錯。果たして救いはあるのか。麻実と岡本は「読んで衝撃を受け、やるべき作品だと思った」と話す。
「中東では人間らしい生活ができない地域がある。日本は平和だけれど何も感じないわけにはいかない。私たち俳優はメッセンジャー。そう遠くない国で起きている事実を伝え、忘れかけていた『家族愛』や『自由』を感じてもらえたら」と麻実。岡本は「中東の話を東京で上演できるのは、一つの平和活動みたいなもの」と意気込む。
麻実が演じる中東系の女性ナワルは、双子の娘ジャンヌ(栗田桃子)と息子シモン(小柳友)に、謎めいた遺言と2通の手紙を残して自ら命を絶つ。手紙は姉弟が存在すら知らなかった兄と、死んだとされていた父に宛てたものだった。姉弟は母の祖国を初めて訪ね、その数奇な人生と家族の宿命に対峙(たいじ)する-。