9月初めに予定される内閣改造と自民党役員人事の目玉の一つは、石破(いしば)茂幹事長(57)の処遇だ。石破氏を閣内に取り込み、次期総裁選への動きを封じたい安倍晋三首相(59)は、新設する安全保障法制担当相への就任を打診したが、石破氏は明確な回答を避けている。処遇次第では、石破氏を支える議員の多くが一気に「反安倍」に傾きかねず、軽率に動けないためだ。
「自分がその役職を全うできる力を持っているか、自問自答しなければならない」
8月8日、石破氏は自身に近い議員グループ「無派閥連絡会」の研修会で、迫る内閣改造や党役員人事を念頭に“心得”を語った。だが、自身が安保担当相の就任について回答を留保しているのは、役職を全うできる力があるかを悩んでいるわけでは決してない。入閣か幹事長残留か、はたまた無役か。これらを掛けたてんびんが、まだ大きく揺れ続けているのだ。
安保担当相は、集団的自衛権の行使容認をめぐる法案審議で国会答弁の責任者となる。もし、安保担当相として入閣すれば、集団的自衛権の行使容認に反対する野党の執拗(しつよう)な攻撃にさらされ、地方で人気の高い石破氏のイメージダウンにつながりかねない。審議は来年の通常国会後半となる4月以降に始まるとみられ、秋の総裁選を前に人気低下だけは避けたいのが本音だ。