数カ月に1度、日本から大きな段ボール箱が届く。
中身はプロテインなどのスポーツサプリメントだ。気を利かせてか、日本のお菓子も入れてくれている。サポートを受ける企業からだ。自分ではどれだけ意識をしていても、食事の中でビタミンや鉄分などが不足してしまう。スポーツサプリメントはコンディション調整のために欠かせないものになった。
プロ入りして3年目のオフ。後輩の選手に橋渡しをしてもらって一人の管理栄養士と出会った。スポーツサプリメントブランド「ザバス」を展開する食品大手、明治の大前恵さんだ。実は記憶にないのだが、彼女とはプロ1年目のときが初対面だった。投手コーチだった鹿取義隆さんの紹介で、食事や栄養の大切さを説いてくれたことがあるらしい。当時は20代前半。まだ体に対する意識が低かった。「らしい」というくらいだから、そのときのことは頭から抜け落ちていた。
1年目のシーズンを終えたオフ。1通の手紙が届いた。大前さんからだった。「栄養でできることはいっぱいあるぞ」。そんなことが書かれていた。プロ2年目からは故障もあって納得のいく投球ができなくなった。2年目も3年目もオフになると手紙が届いた。プロ入りから4年目。寮から出ることができる時期だった。大前さんと親交のある後輩に改めて紹介してもらったのは、そんなときだった。