DNA型鑑定で血縁関係がないことが明らかになった場合に法律上の父子関係を取り消せるかが争われた2訴訟で、上告審の弁論が6月9日、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)で開かれた。夫側は「自分の子供として愛情をもって養育してきた。父子関係を取り消した下級審には重大な誤りがある」と主張。母側は「すでに生物学上の父と暮らしており、子の利益の視点に立って検討すべきだ」として、上告棄却を求めた。
最高裁第1小法廷は判決期日を来月(7月)17日に指定。2審の結論見直しに必要な弁論が開かれたため、鑑定結果などを根拠に父子関係を取り消した1、2審判決が見直される可能性がある。
弁論が開かれたのは関西と北海道の2訴訟。いずれも母が子の代理人となり、夫との父子関係が存在しないことの確認を求めている。子の出生時、母と夫は婚姻していたが、DNA型鑑定の結果、別の男性との生物学上の父子関係が「99.99%」とされた。
一方、民法772条は「妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する」(嫡出推定)と定めている。