新型万能細胞とされる「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が、論文2本のうち主要な1本の撤回に同意したことが6月4日、分かった。補足的な1本はすでに撤回に同意しており、掲載した英科学誌ネイチャーが両方の取り下げを認めれば、STAP細胞の研究成果は白紙に戻る。
理研によると小保方氏は3日、主要論文の撤回に同意する旨を記し署名押印した文書を、共著者の一人で理研の検証実験を主導している丹羽(にわ)仁史・プロジェクトリーダー(49)に提出したという。
小保方氏の代理人を務める三木秀夫弁護士は「彼女は精神的に追い詰められ、撤回は本意ではない」と述べ、「細胞の存在を確認する理研の検証実験に参加するために、応じざるを得なかった」と苦渋の選択だったと強調した。
「私は何のために、これまで頑張ってきたんだろう…」。三木弁護士によると、4日午後に電話でやり取りした小保方氏の声からは論文撤回への悲しみがにじんでおり、「仕方がなかったんです。悲しいです」と打ち明けたという。