【アートクルーズ】
コアオブベルズはなにものなのか? と尋ねられると、しばし返答に困る。ロックバンドと言えばそうなのだが、彼らのライブを見て「なるほど」と納得する者は、さぞかし少なかろう。
耳をつんざくサウンド
たとえば先日、私が六本木で見た「重力放射の夜」と名付けられた公演では、1時間半に及ぶステージにはついに、メンバーは誰ひとり姿をあらわさなかった。むろん、演奏は行われた。それもまったくの切れ目なしに。しかしそれは、はたして一曲なのだろうか? クラシックの組曲のように起承転結がはっきりとあり、緻密に構成されているわけではない。耳をつんざく重金属の塊のようなサウンドが、観客を囲む三方から、ひたすら放射され続けるだけなのだ。
黒い壁の向こうで
まちがいなく演奏をしているのに、その姿が見えないのは、ステージを囲んでコの字状に黒い壁が立てられていて、メンバーはその背後で演奏しており、椅子に座った観客からは、その視線の向かう先を完全に邪魔されてしまっているからだ。