ウクライナ現政権の腐敗体質は深刻だ。しかも、内部に「スボボダ(自由)」のようなネオナチ勢力を含んでいる。日本国民の税金を原資とする資金をあの国に投入しても、現政権のエリートの間で分配され、国民に行き渡らない恐れがある。日本がウクライナに対して行う経済支援については金額を必要最低限に抑えることと、用途を非軍事に限定し、その執行状況を監視する必要がある。
ロシアによるクリミア併合は、国際社会の既存の秩序を破壊する暴挙だ。日本がそれを非難するのは当然のことだ。しかし、そのことがウクライナ暫定政権を美化することにつながってはならない。ロシアとともにウクライナにも、国際的な人権基準に基づいて、厳しい圧力をかけることが、ウクライナ情勢の安定化に寄与する。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)