米西海岸のカリフォルニア州サンフランシスコで、「住宅戦争」が勃発している。アップルやグーグルなど数々の有力企業を育んできた米IT企業の集積地、シリコンバレーで働く高収入のIT技術者の流入によって、家賃の高騰が深刻化しているからだ。家賃を上げてもすぐに次の入居者が見つかるため、昔からの借家人が立ち退きを迫られるケースが相次ぎ、在サンフランシスコ日本総領事館も先月(3月)下旬、契約切れを機により狭いオフィスへの引っ越しを余儀なくされた。こうした家賃高騰は他の米主要都市でも起きており、住居の「ウサギ小屋」化も急速に進んでいる。
IT技術者らが職場から40~80キロ離れたサンフランシスコでの居住を好むのは、都市生活を楽しめるからだ。シリコンバレーは夜9時を過ぎると閑散とするため、盛り場が恋しい技術者にとっては住むのに適さない。このため、インターネット検索大手グーグルなどは通勤の足として、サンフランシスコなどから従業員用のシャトルバスを走らせている。