アフリカゾウは、その大きな耳で人間の声を聞き分け危害を加える人間を識別し、危機を回避する能力を備えている-。こんな研究結果が3月12日までに、米科学アカデミー紀要で発表された。ゾウを狩猟対象としてきたマサイ族の男性の声には反応を示し防御態勢に入る一方で、マサイ族の女性や子供、狩猟をしないカンバ族の男性の声を聞いても反応を示さなかった。高い知能を持つゾウがマサイ族との闘いの中で身に付けた生存能力だという。だが、その能力も、象牙を狙う自動小銃を持った現代の密猟者に対しては、「まったくの無力だ」と、科学者たちは嘆き悲しんでいる。
女性・別部族は無視
「マサイ族とカンバ族の男性が、それぞれの言語で話した同じ意味の言葉を聞き分けたということは、ゾウが異なる言語を識別している可能性がある」
研究論文の共同執筆者である米コロラド州立大学の行動生態学者、グレーム・シャノン博士は、驚きを隠さない。