東京五輪の施設工事が本格化するのを前に、建設業界で「外国人技能実習制度」などを活用し、これまで消極的だった外国人の雇用へとかじを切る動きが広がっている。技能労働者(熟練工)が高齢化し、建設現場に入ってくる若者の減少にも歯止めがかからないためだ。
専門技術も担わせる
ゼネコンや下請けの建設業者の多くはこれまで、外国人の雇用に消極的だった。「言葉の壁もあり、技能習得は簡単でない」(大手建設会社の現場所長)というのが理由だ。東京都内の下請け会社は「難しい作業でけがや失敗をされたら困る。海外からの実習生には安全で簡単な作業を割り当てることが多い」と話す。
最近は建設現場の人手不足が深刻になり、「実習生を雇い入れたいと希望する業者が急増している」(準大手ゼネコン幹部)という。技能実習の本来の目的である専門技術を外国人に担わせる会社も増えている。
ベトナムからの実習生を受け入れている向井建設(東京)は、2012年から現地で職業訓練校を開いている。倍率3~4倍の試験で選ばれた合格者に、高所作業、鉄筋、型枠の3職種を日本の熟練工が実地で指導する。