ドイツのアンゲラ・メルケル首相(59)への盗聴疑惑などで欧州から非難を浴びる米情報機関のトップ2人が10月29日、下院情報特別委員会の公聴会に出席し、同盟国首脳への通信傍受といった情報収集活動は「法律の範囲内」であるとして正当性を主張した。同時に、外国での情報活動が米国と同盟国をテロから守る重要な役割を果たすと意義を強調した。とはいえ、一連の情報活動の実態をバラク・オバマ大統領(52)が認識していなかった可能性が高く、米情報機関の活動に欧州などの同盟国は不信感を募らせるばかりだ。
公聴会に出席したのは米国の情報機関を統括するジェームズ・クラッパー米国家情報長官(72)と、米国家安全保障局(NSA)のキース・アレグザンダー局長(61)。
監督体制機能
クラッパー氏は席上、「1963年、私が諜報担当者の養成学校で最初に学んだことは、指導者の考えを知ることが情報収集活動の基本であるということだ。それはどんな指導者にもあてはまる」と断言。米国の同盟国も米指導者や情報機関に対して同じようなスパイ活動を行っているのかとの問いにも「間違いない」と述べ、米国だけが特異ではないとして理解を求めた。