新型コロナウイルスの集団感染が発生した大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」をめぐる政府の対応について、海外メディアの論調は当初、一方的な批判が目立ったが、最近になって、一部だが、評価する論評も出てきた。政府は今回の教訓を踏まえ、クルーズ船で集団感染が発生した際の対応に関する新たな国際ルール作りを主導していく考えだ。
「なぜ日本のみを非難するのか?」
チェコの有力英字紙「プラハ・ポスト」は今月8日、ダイヤモンド・プリンセスをめぐる記事を掲載し、こんな疑問を投げかけた。記事は「船の封鎖はパーフェクトではなかった」としつつも、検疫データに基づき「船が航海中の段階ですでに汚染が蔓延(まんえん)していた」と指摘し、「ウイルスに侵されたクルーズ船という危機は先例がなく、従うべきルールも確立されていない」と説明した。
日本政府が当時置かれた状況を客観的に説明しているといえ、「疫病船 隔離計画の不手際が、中国以外で最大の感染拡大をどのようにもたらしたか」との見出しを掲げた英紙サン(2月18日、電子版)や「ダイヤモンド・プリンセスは今や、海に浮かぶ小型版の武漢だ」と断じた米紙ニューヨーク・タイムズ(2月10日、電子版)などとは印象が異なる。
英国船籍であるダイヤモンド・プリンセスが日本に寄港した結果、浮き彫りになったのは、大型客船の感染症対策をめぐる船籍国や運航会社やその所属国、沿岸国などの責任の所在があいまいで、明確な国際ルールが整備されていないということだった。
日本が同船を受け入れたのは、国際法上の義務ではなく、「人道的見地から支援を行ってきている」(安倍晋三首相)のが実態だ。