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職員にも入居者にも安心、電動リフトで変わる介護の現場 意外な障害も (1/2ページ)

 「体力勝負」と考えられがちな介護の仕事だが、力自慢が求められるわけではない。たとえばベッドから車椅子への移動や入浴時のサポートに電動介護リフトを導入すれば、介護する側にも、される側にも余裕が生まれる。そうすれば、体力差や技術レベルをならすことができる。道具ひとつでも現場は変わる。介護の意識も変わっていきそうだ。

 「腰に負担きた」

 千葉県浦安市の介護付き有料老人ホーム「グッドタイムリビング新浦安」で暮らす多良(たら)慶輝さん(88)は、介護リフトを毎日利用する。パーキンソン症候群と診断されて、約6年前に入居した。3年前に胸髄損傷によって、自力で歩けなくなった。体操などの活動や食事のために4階の自室から1階へ行き来するので、毎日5、6回はベッドと車椅子の移乗が必要になる。

 スタッフが移動式のリフトを押して部屋を訪ねてくる。スリングシートと呼ばれるつり具を体の下に敷き、スイッチを入れると音もなく体が浮く。ハンモックのように空中を移動して車椅子に座る。スタッフと多良さんはその間、体の具合などをあれこれ話している。

 移乗には、正面から抱えたり、シートに乗せて何人かで動かす方法などがある。多良さんによると、以前に入院していた病院では、看護師が3人がかりでしてくれたという。

 「動きを合わせるのが難しいし、大変そう。格段にリフトがいい」

 大和証券グループのグッドタイムリビング新浦安には76の居室があり、2~4階の各フロアに床走行式リフトを常備。4階の浴室にも天井走行式リフトを導入している。平成23年以降は、同社の全施設に介護リフトが導入されている。

 グッドタイムリビング新浦安に約11年間勤務している介護スタッフの名古屋守さん(35)は、リフト導入による変化を経験してきた。

 「導入前は、体格の大きな男性を移乗すると、やはり腰に負担がきた。勢いをつけて動かすと、ケガにつながるリスクもあった。もう、リフトなしは考えられないですね」

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