伊豆諸島・三宅島(三宅村)で平成12年の噴火以降、一般の立ち入りが禁止されていた雄山(おやま)の火口周辺をめぐるガイド付きの観光ツアーを、都が来年度から実施することになった。噴火後も観測されていた高濃度の火山ガスは収束。緑や野鳥が再び姿を現しており、「裸の大地からの再生を見てほしい」と呼びかけている。
ツアーは雄山の麓(ふもと)から火口外縁の約100メートル手前まで2時間程度。都認定の自然ガイドが同行し、火山や植物の現状を解説する。ヘルメットやガスマスクを貸し出し、1日当たりの利用者は40人を上限とする。
都によると、三宅島は12年の噴火で森林の6割が消失。その後も有害な火山ガスで緑が育たない状況が続き、絶滅危惧種の野鳥、アカコッコやウチヤマセンニュウなども減少した。噴火前に約8万人だった観光客数は昨年は約3万5千人と落ち込んだままだ。
だが、自然の再生と観光施策の双方に足かせとなっていた火山ガス中の二酸化硫黄の量は28年ごろから最盛期の1千分の1程度の1日当たり数十トン以下に収束。植物はススキやオオバヤシャブシなどが育ち、アカコッコの生息数も21年の約4400羽から28年には約7800羽にまで戻った。村の観光施策の担当者は「現役の火山を体感できる新しい機会」とし、観光の復活も目指している。