楽曲を奏でる音色がいかにも繊細で、鼓膜を優しくくすぐってくれる。目を閉じて音色と一体になると、夢幻旅行に誘ってくれるかのような空想に陥る。
日本のオルゴールが紹介されている1階のフロアには、視聴ルームが隣接していて、音色の音源となる弁数や、オルゴールメカを収める木箱の材質、楽曲の異なるシリンダー・オルゴールが約25台あって、記念館のスタッフにお願いすれば、どれでも聴ける。
弁数の多寡は、音色の繊細さを左右するのは想像に難くない。ハンガリー王国のフランツ・リストによるピアノ曲「ラ・カンパネラ」には、100弁のオルゴールがあり、その細やかな音色にはつい、引き込まれてしまう。これを共鳴台に載せるので、その響きがひしひしと耳に伝わる。
野田喜勇館長のお話だと、箱の材質は数多くあって、バイオリンのボディーなどの材質になるマホガニーだと、「音色が硬すぎず、柔らかすぎない」とのこと。「硬い」とは、はっきりした音色で、「柔らかい」とは優しい音色だという。
同じ楽曲、同じ弁数でも材質が異なればおのずと音色にも差が出よう。ならば聞き比べて、自分の好みと合致する音色を求めて悦に入るのも乙である。
2階では、欧州の国々などで19世紀に製作されたオルゴールなどが展示されており、女性のガイドさんが来館者に、ディスク・オルゴールの来歴や仕組みとかを説明していた。