【暮らし替えの道しるべ】(30)生活動線を意識した収納を

 生活動線を知っていますか? 日常生活をする上で、リビング、キッチン、トイレ、浴室などを行き来する線のことをいいます。

 以前見たホームドラマで、亭主関白のご主人が玄関からリビングのソファに座るまで、歩きながら床に服を脱ぎ捨て、奥さまがそれを拾いながら追いかける、というシーンがありました。このように、ご主人の動く線が生活動線です。奥さまが服を拾わなければ、この家は玄関からリビングまで服が山のようになっていくはずです。この動線を短くすることで、暮らしやすくなります。

 まずは、自分が家の中でどのような動線を描いているのかを意識します。

 例えば入浴するとき、寝室にあるたんすから下着とパジャマを出し、別のたんすからタオルとバスタオルを出してお風呂場に行く。部屋の中を歩き、引き出しを何度も開け閉めする手間がかかっています。動線が長くなっている状態です。

 始めに、いかに動線を短くするかを考えます。次に、そこで何をするのか、必要な物は何か考えます。

 お風呂に入るために脱衣所に行きます。お風呂に入り、タオルを使い、お風呂から上がったらバスタオルで体を拭き、下着やパジャマに着替えます。ここで使うものを脱衣所に置いておくと動線が短くなります。脱衣所にあまりスペースがないお宅なら、下着やパジャマなどを減らすきっかけになるかもしれません。

 使う場所に使うものを収納すると、散らからない暮らしができるようになります。

 動線を見直すと、最初に紹介したようなご主人から、お風呂上がりに「おーい、バスタオル持ってきて!」と言われることもなくなるはずです。(日本ホームステージング協会代表理事 杉之原冨士子)