マラリア撲滅目指し共同研究 塩野義製薬と長崎大 (1/2ページ)

長崎大とマラリア撲滅に向けた共同研究を進める包括的連携協定を結んだ塩野義製薬の手代木功社長(右から2人目)=大阪市中央区
長崎大とマラリア撲滅に向けた共同研究を進める包括的連携協定を結んだ塩野義製薬の手代木功社長(右から2人目)=大阪市中央区【拡大】

 塩野義製薬と長崎大学は28日、マラリアの撲滅を目指し、予防ワクチンや治療薬などの研究開発を共同で行う包括的連携協定を結んだ。感染症治療薬に強みを持つ塩野義と、熱帯医学研究に半世紀以上取り組んできた長崎大の知見により、日本発のマラリア新薬創製を目指す。また、他の研究機関や企業との協業も進める考えだ。(安田奈緒美)

オープンイノベーションも

 長崎大は4月に熱帯医学研究所内に「シオノギグローバル感染症連携部門」を設立予定。連携協定の第1期5年間のうちに治験(臨床試験)も始めたいとしている。マラリア予防ワクチンはまだ実用化された例がないが、長崎大の北潔教授は「(塩野義と)双方の強みを生かしてマラリア撲滅に取り組む」と話した。

 また塩野義の手代木功社長は、同社と長崎大を中心に、日本でマラリア研究を進める研究機関や創薬技術を持った企業と協業するオープンイノベーションの取り組みを進める構想も明らかにした。

世界的な課題

 マラリアはエイズウイルス(HIV)、結核と並ぶ世界3大感染症のひとつ。媒介する蚊によって罹患(りかん)しやすく、命を落とす危険もある。亜熱帯、熱帯地域に流行するが、近年は地球温暖化の影響で流行地域の北限が上昇しているとの指摘もある。また、主な流行地域のアフリカには近年、ビジネスや人道援助などを目的にした渡航者も増加しており、マラリアは世界の健康課題のひとつになっている。

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