インターネット上で事業資金を募るクラウドファンディングの市場が活況を呈している。短期間で数千万円を集める企画も登場。研究や映画製作、町おこしなどさまざまな夢の後押しをしている。実績がなくても起案、資金集めに挑戦できることや、投資する側も少額から参加できることが理由のようだ。
急患を搬送する飛行機
沖縄県で離島の救急医療に取り組むNPO法人「メッシュ・サポート」は平成27年3月、急患搬送をする飛行機購入のため、クラウドファンディングを開始した。目標は3500万円。1口3千円から、多い人では100万円以上の支援があり、3カ月で達成した。1万円以上寄付した人には機体に名前が書かれる「特典」も。
塚本裕樹理事長は「目標達成には県外を含め多くの協力を要するため、挑戦した」と話す。約440人のサポーターのうち、救急医療に課題を抱える中山間地域の人や、沖縄を旅行で訪れる人など県外の人が9割以上を占めた。
クラウドファンディングは(1)企画が実現すれば完成製品やイベント招待など見返りがある「購入型」(2)公益性が高い企画が多く、基本的に見返りがない「寄付型」(3)資産運用の側面を持つ「金融型」-の3つに大別される。個人や団体が専門のサイトで企画を公にして資金提供を呼び掛ける。
資金を募る側にとってはリスクが少ない半面、企画が多くの人からの共感を得られないと目標達成は難しい。目標に届かず、企画倒れになる例もある。
米国で始まり、日本で23年の東日本大震災の復興支援もきっかけとなり、広まった。矢野経済研究所の推計では、新規案件の支援額は29年度で約1700億円。30年度は2千億円(見込み)を超える勢いだ。