歯科医院が苦境に立たされている。2017年度の倒産は23年ぶりに大台の20件に乗った。保険診療での経営維持は難しく、人件費や歯材コストも上昇。患者争奪戦は激しく、経営は年々難しさを増している。(東京商工リサーチ特別レポート)
2017年度の歯科医院の倒産は20件で、前年度からほぼ2倍増(前年度比81.8%増)と大幅に増加した。年度では1994年度(20件)以来、23年ぶりに20件台となった。
負債総額は11億500万円(同36.2%増)で、件数増で膨らんだ格好。年度では5年ぶりに増加したが、負債1億円未満が18件(構成比90.0%)と大半を占め、小規模な歯科医院の倒産が多い。
歯科医院は開業時の設備投資はリース充当などで自己資本を多く必要としていないため参入のハードルが低く、繁華街や中心部など人の集まる地域で開設が相次ぎ、競合が激化している。
一方、人口減による患者減少や歯科衛生士などの人件費上昇も深刻で、小規模な歯科医院が苦境に立たされる厳しい実態を浮き彫りにしている。
◆いったん顧客離れが進むと再建は困難
2017年度の歯科医院倒産は20件(前年度比81.8%増)で、2年連続で前年度を上回り、前年度の11件からほぼ2倍増と急増した。年度では2015年度が7件、2016年度が11件と落ち着いていたが、1994年度の20件以来、23年ぶりに20件台に乗せた。
負債総額は11億500万円(前年度比36.2%増)で、年度では5年ぶりに前年度を上回った。ただ、負債5億円以上の大型倒産は2年連続で発生がなく、同1億円未満が18件(同125.0%増)と前年度8件から2.2倍増となった。同1億円未満の構成比は90.0%で、小規模倒産が大半を占めた。