人手不足、企業内教育に転換期 徒弟制度の刷新、最新技術を活用… (1/2ページ)

 今までのように技能継承できますか-。人口減少による人手不足や非正規雇用の増加、同じ企業で勤め続ける従来型の雇用慣行が揺らぐ中、日本の企業内教育は転換期を迎えている。

 労働力の主体となる15~64歳の生産年齢人口は2015年に7728万人だったが、60年には約4割減少する見通し。人手不足が企業活動の足かせとなっており、問題は今後さらに深刻化する。

 濃密な人間関係を前提とした職場訓練など企業内教育を支えていた「日本型雇用システム」も1990年代のバブル崩壊以降は不安定だ。労働量の投入当たりの成果を示す「労働生産性」は低迷している。

 競争力の源泉となる人材育成の在り方が問われる中、企業やモノ作りの現場では、徒弟制度を刷新して後継者育成に取り組んだり、人工知能(AI)など最新の技術を使って人手不足を補いつつ技能継承を進めたりと模索が続いている。

 手取り足取り2年

 窓の外の森にみぞれ雪が散る中、工房に金づちでノミをたたく音が響く。2時間に1回の休憩がきても生徒2人はお構いなしに椅子作りを続けていた。飛騨職人学舎1年生の里村俊紀さん(23)は「技術を身に付けるには時間が足りない」と笑う。

 木工技術を習得する学舎を2014年に設立したのは、岐阜県高山市に本拠を置く木工家具の老舗、飛騨産業。デザイン性が高く、丁寧なモノづくりで欧州やアジアでも評価される地場企業だ。生徒には月8万円の奨学金を支給するが、社員になる人もいれば、自らの工房を立ち上げる夢を持つ人もいる。

厳しい上下関係なし