サービス業生産性向上へ対策 政府 マニュアル策定、導入促す

 政府は小売業、宿泊業などのサービス産業向けに「労働生産性」(働き手1人が生み出す付加価値額)向上のためのマニュアル策定に乗り出す方針を固めた。看板政策「生産性革命」の一環として、2017年度中に着手。適切な従業員の役割分担や在庫管理などに関し、業界団体を通じて多くの企業が導入できる形を整える。

 日本のサービス業は国内総生産(GDP)の約7割を占めるが、労働生産性は製造業の5割程度にとどまる。少子高齢化で働き手が減る中、日本経済全体の成長底上げのためにも、サービス業の生産性向上を急ぐ。

 マニュアルは小売り、宿泊や飲食、道路貨物運送など、サービス業でも特に生産性が低い分野ごとに作る。厳密にはサービス業ではないが、人手不足が続く建設業も対象として検討する。

 具体的には一般競争入札で民間コンサルティング会社など数十社を選び、自動車といった製造業を参考に企業のコンサルティングをしてもらう。実際に生産性向上が成功した例があれば、そうした例を集めて参考にし、従業員の役割分担や在庫管理、従業員の動き方、設備配置などについて、どんな企業でもまねできる形のマニュアルを作る。

 マニュアルは業界団体のセミナーや勉強会、インターネット上で学習する「eラーニング」などを通じ、多数の企業が採用できるようにする。一連の過程で必要な経費は、22日に閣議決定する17年度補正予算で手当てする。中小企業庁の統計を基に算出すると、労働者1人が年間に生み出す付加価値額は「宿泊業・飲食サービス業」約144万円、「小売業」約273万円などとなっており、「製造業」の約434万円を大きく下回っている。

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