マダニ感染治療薬開発に道 インフル薬に有用性、愛媛大などが確認

 マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の治療に、インフルエンザ薬のアビガン(一般名・ファビピラビル)が一定の有用性を持つことが確認されたと、愛媛大や国立感染症研究所などのチームが明らかにした。

 患者10人を対象とした臨床研究で判明したとしており、有効な薬剤がないSFTSの治療薬開発につながる成果という。

 研究を主導した安川正貴・愛媛大教授は「発症初期にSFTSウイルスの増加を抑制して、重症化を防げる。症例数を増やして研究を進め、実用化したい」と話す。臨床研究は2016年5~12月に実施。50~80代の患者10人に5~14日間アビガンを投与した結果、8人で血液中のウイルスの量が減少して回復。副作用は確認されなかったという。

 2人は死亡したが、投与開始時に既に多臓器不全だったため、薬の効果がなかった可能性が高いとみている。

 厚生労働省によると、SFTSはウイルスを持つマダニにかまれて引き起こされる。発熱や下痢のほか、意識障害や呼吸不全などの症状が出て、死亡することもある。