中国のシェアサイクル大手「ofo(オッフォ)」が、ソフトバンク・グループとの協業により、東京と大阪での事業展開を計画している。また日本勢でもメルカリが「メルチャリ」で、DMMが「DMM sharebike」で、それぞれ2018年を目処に参入を予定中だと報じられている。
いっぽう東京では、NTTドコモが参画しての「自転車シェアリング広域実験」が数年前から継続実施され、都内7区(千代田、中央、港、新宿、文京、江東、渋谷)をまたぐ広域で利用可能となっている。そこに、中国の競合大手「Mobike(モバイク)」が17年8月、事業化のハードルを踏みこえて、札幌で実際にサービスを開始した。この海外勢初進出が刺激剤になり、日本全国の大都市でシェアサイクルの導入がじわじわと進む近未来図も見えてきた。
▽市場の普及にはきめ細かいステーション網が必要
観光地のレンタサイクルとは違い、A地点からB地点へと、ステーション間を自在に移動できるのがシェアサイクルの強みだ。その利便性の高さから、鉄道網を補完するものとして、バスやタクシーと肩を並べる都市内移動手段となる潜在力も備えている。
中国勢のモバイクやオッフォは同国内でここ数年のうちに爆発的に普及したわけだが、その裏にはスマートフォンひとつで解錠から支払いまでが済む簡便さに、料金の格安さ、街中のどこでも乗り捨てOKという使い勝手のよさがある。中国の都市は道路が全般に日本より広く、スマホ決済が日本よりはるかに普及しているという国情の違いによるものだが、急成長の余波というべきか、乗り捨てられた自転車が多くなりすぎて社会問題化しつつあるし、そうした自転車の回収と再配置にあたる下請け業者の労働環境はかなり苛酷で劣悪なようだ。
そして路上乗り捨ては、駅前の放置自転車が長らく社会問題となってきた日本では、言うまでもなく論外だ。モバイクもこのたびの札幌進出にあたっては日本流を採り入れ、コンビニやドラッグストアをステーションにしているという。シェアサイクル利用者がついでに買い物をしてくれることも期待できるから、店舗の協力も得やすいわけだ。