快進撃続くボルボ新社長、異色の経歴 トヨタ、ファストリ、日産…

 世界の自動車メーカーは近未来の自動運転にもつながる先進の事故予防安全技術の開発にしのぎを削る。そんななか、「2020年までに新しいボルボ車での交通事故による死亡・重傷者をゼロにする」という目標を掲げたのはスウェーデンの高級車ブランドのボルボ・カー。

 「設計の基本は、常に安全でなければならない」とはボルボの創業以来変わらぬ精神だ。これについて、ボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長は「おかげで安全技術にこだわり続けるブランド価値を再認識されて来店する顧客が増えた」と満足げに話す。国内の輸入車ブランドではベンツ、VW、BMWのいわゆる“ジャーマンスリー”の人気が際立つが、ボルボも昨年は前年比7.8%増の1万4543台を販売。今年上半期(1~6月)の累計でも前年同期比10.2%増の7873台と快進撃が続く。

 3年前に社長に就任した木村氏だが、その経歴は日本人経営者としては異色。大学卒業後、まず入社したのがトヨタ自動車。海外部門の商品企画が長く、社費留学でMBA(経営学修士)も取得。その後はファーストリテイリングを経て、能力主義を重んじるカルロス・ゴーン体制下の日産自動車へ転職。インドネシア日産社長に就任するなどの“渡り鳥人生”を歩む。現在は、トヨタ時代に「レクサス」の国内立ち上げに参画した経験から顧客満足度を高めるため、全国のボルボ店でおもてなしのサービス向上を推進中。「2020年に年間販売2万台」の目標達成に向けて凄腕営業パーソン育成にも力が入る。

 ボルボ・カー・ジャパン社長 木村隆之(きむら・たかゆき)

 1965年生まれ。87年大阪大学卒業後、トヨタ自動車入社。2007年退社後、ファーストリテイリング、日産自動車を経て、14年より現職

 (経済ジャーナリスト 福田 俊之 写真=AFLO)(PRESIDENT Online)