自転車ラックつき路線バスは公共交通を変えられるか? レジャー用途にも期待 (1/4ページ)

日本中央バスの車内。このように自転車2台をしっかり固定でき、補助席1席ずつが使えなくなるだけで他の乗客への影響も少ない(日本中央バス提供)
日本中央バスの車内。このように自転車2台をしっかり固定でき、補助席1席ずつが使えなくなるだけで他の乗客への影響も少ない(日本中央バス提供)【拡大】

  • 榛東線の「自転車積載バス」。写真にあるように中型の低床式ワンステップバスだ(日本中央バス提供)

 平日の朝、サンフランシスコの街角に銀ぴかのバスがやってくる。バスには自転車ラックもついており、従業員は愛車とともに出社して、広大な本社キャンパス内での移動に使うこともできる。

 米グーグルやアップルの通勤バスには、そればかりかWi-Fiも完備され、シリコンバレーの職場までゆったり座って行けるという。日本の通勤事情を考えるとため息の出そうな話だけれども、じつはそういった企業シャトルバスだけでなく、ハワイや(西海岸のオレゴン州)ポートランドをはじめ、アメリカの多くの地域では路線バスにも自転車ラックがついていて、自転車とともに移動できることはご存知だろうか?

 日本では地方の中山間地域を中心に、公共交通網の維持が課題になっている。鉄道はおろか路線バスも採算の目処が立たず、次々に廃止される事態となっているのだ。その対策として予約制のデマンドバスへの移行や、宅配便荷物との貨客混載による空きスペース活用、さらに一部ではNPO(民間非営利団体)との協業により地域住民の自家用車をお年寄りの足として活用する試みも始まっている。

 そうした試みの一環として、アメリカのように自転車ラックつき路線バスの導入を推進するのはいかがだろうか? バス停まで自転車でアプローチできるなら運行本数も基幹路線により重点配分することで利便性と効率をさらに高められそうだし、バス下車後も自転車で動けるなら乗り手よし、商店街よし、レジャー施設よしの近江商人ならぬ“三方よし”も期待できるのではないか?

 だが、そのように想像を巡らせるのは易しだが、行うは難しだ。そこで今回は、首都圏周辺の事例に的を絞って調査取材し、その課題や今後の可能性について考えてみることにした。

赤城山麓の急坂でリフト代わりになってくれる前橋駅発のバス

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