実はこの推計には続きがある。一定の条件を置いた“机上の計算”だが、300年後には約450万人となる。現在の福岡県の人口にも届かない規模だ。西暦3000年にはなんと2000人にまで減るという。ここまで極端に減る前に日本は国家として成り立たなくなることだろう。
もう1つの危機感は、高齢者数がピークを迎える2042年が日本にとって最も「厳しい時期」となりそうなことである。
高齢社会の課題としては医療機関や介護施設の不足が挙げられるが、懸念はそれだけでない。この頃には、「就職氷河期」と重なった団塊ジュニア世代が高齢者となる。すなわち2040年代初頭というのは低年金、無年金という人がたくさん出てきそうなのである。一方で「第3次ベビーブーム」は到来せず、団塊ジュニア世代を支える世代は少ない。これを私は「2042年問題」と呼んでいる。
私が危機感を抱く2つの課題を解決しようと思っても、あまり時間は残っていない。少子化対策は、母親となり得る若い女性が激減してしまった後では大きな成果が望めない。「2042年問題」にしても、残すところ25年しかない。政府は団塊世代が75歳以上となる「2025年問題」への対応に追われ、「2042年問題」にまで手が回っていないのが現状だ。対策を講じてから成果が現れるまでに時間がかかることを考えれば、25年というのは決して長いわけではない。
では、どこから手を付ければよいのだろうか。まずは少子高齢化、人口減少の真実をよく知ることである。