襟や裾には青いサテン素材をあしらい、シャツはピンク。はっとするほど鮮やかだが、不思議とまとまっている。「サップであると認められることは日常に光をあてるような喜び。ぼくたちが着飾ることで多くの人に喜びを伝えられる」と話す。
服が汚れるから争わない
数十万円もするスーツに身を包むサプールではあるものの、その多くは富裕層ではなく、大工や電気工事などで身を立てる労働者階級。なぜ彼らは給料の大半をつぎ込んで、高級スーツに身を包むのか。
「私たちコンゴの人間にとって、着飾ることは、歴史的にも続けられてきたことです。喜びを分かち合い、平和を願い、希望を持ち、先祖を敬う。その精神性をエレガントな衣装で表現するんですよ」とセヴランさんはいう。
サプールを追い続ける写真家、茶野邦雄さんは、「彼らの言い分はすごくシンプル。服が汚れるから争わない。彼らがファッションで平和への道筋をつけていること、多くの人の希望になっていることを伝えたい」と話している。
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写真展「THE SAPEUR」は16日まで大丸心斎橋店北館10階の特設会場で開催。無料。