なぜ?月収3万円でもスーツの値段は20万円! コンゴ紳士のファッション哲学 (3/3ページ)

コンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。(サプール名で)カンガ・エリックさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
コンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。(サプール名で)カンガ・エリックさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)【拡大】

  • コンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。カンガ・エリックさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 心斎橋筋商店街を練り歩いたコンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。(サプール名で)イヴ・サンローランさん=大阪市中央区(南雲都撮影)
  • 「サプール」のイムィエゴ・セヴランさん(左)とイヴ・サンローランさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 心斎橋筋商店街を練り歩いたコンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。手前がムィエゴ・セヴランさん=大阪市中央区(南雲都撮影)
  • 心斎橋筋商店街を練り歩いたコンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。手前右から(サプール名で)イバラ・ルノーさん、イヴ・サンローランさん=大阪市中央区(南雲都撮影)
  • 「サプール」カンガ・エリックさんの足下=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 「サプール」カンガ・エリックさんの時計や袖=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • スーツの中を開いてみせる「サプール」のイバラ・ルノーさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 「サプール」のイバラ・ルノーさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 「サプール」のイバラ・ルノーさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)

 襟や裾には青いサテン素材をあしらい、シャツはピンク。はっとするほど鮮やかだが、不思議とまとまっている。「サップであると認められることは日常に光をあてるような喜び。ぼくたちが着飾ることで多くの人に喜びを伝えられる」と話す。

 服が汚れるから争わない

 数十万円もするスーツに身を包むサプールではあるものの、その多くは富裕層ではなく、大工や電気工事などで身を立てる労働者階級。なぜ彼らは給料の大半をつぎ込んで、高級スーツに身を包むのか。

 「私たちコンゴの人間にとって、着飾ることは、歴史的にも続けられてきたことです。喜びを分かち合い、平和を願い、希望を持ち、先祖を敬う。その精神性をエレガントな衣装で表現するんですよ」とセヴランさんはいう。

 サプールを追い続ける写真家、茶野邦雄さんは、「彼らの言い分はすごくシンプル。服が汚れるから争わない。彼らがファッションで平和への道筋をつけていること、多くの人の希望になっていることを伝えたい」と話している。

 写真展「THE SAPEUR」は16日まで大丸心斎橋店北館10階の特設会場で開催。無料。