欧米の企業では一般的な長期間のインターンシップ(就業体験)が、日本でも広がりそうだ。経済団体の提言に全国の大学や企業が応じた。学生の職業への意識向上や採用のミスマッチ解消など期待は高いが、専門家は「目が届かないところで青田買いや囲い込みにつながらないよう、注意が必要だ」としている。
◆「短期で結果出ない」
「もう一回部品をセットしてみよう」。6月中旬、米化学大手デュポンの宇都宮市にある事業所。広島県呉市の呉工業高等専門学校専攻科1年の盛本秀之さん(20)は、指導役の社員のアドバイスを受けながら実験の準備を進める。呉高専の専攻科は約10週間のインターンを必修化している。盛本さんは5~7月、高機能樹脂部品についての研究実験や品質管理、設計のサポートに取り組む。「勉強と違い失敗すれば会社に損害を与える。特別扱いはなく、社員として責任がある」。7月、成果を英語で発表する予定だ。
上司で技術責任者の●文一さんは「学生がテーマを持って働くには最低でも2カ月は必要だ。短期では結果を出せない」と強調する。米国本社と違うのは、学生の社員としての採用に直結させない点だ。それでも「学生との理解が深まり、採用・就職活動でお互いを正しく判断するきっかけになる」と評価している。