ものづくり産業労働組合(JAM)は15日、中央委員会を開き、2016年春闘の労使交渉で、組合員平均賃金の2%(月6000円)の増額を要求する方針を正式決定した。JAMは機械や電機、自動車など約2400団体に上る中小製造業の労働組合によって構成されており、大手企業との賃金格差是正を目指す。
16年春闘では、物価の伸び悩みや新興国の景気減速といった厳しい経済情勢を踏まえ、トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会が、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分として「月額3000円以上(15年は同6000円以上)」を統一要求する方針を発表するなど、前年水準を下回る要求が相次いでいる。
過去2年の春闘では中小企業の賃上げが大企業に追いつかず、大手と中小の格差が拡大。高い水準を掲げるよりも、着実な賃上げを獲得することで幅広い中小の底上げを促すことが課題となっている事情もある。
JAMは昨年の春闘で月9000円のベアを要求。ベアを実施した企業は全体の40%にとどまっていた。宮本礼一会長は「未組織労働者や非正規労働者に光を当てた春闘へと転換する必要がある」と述べた。