【図書館は今】(上)
深刻化する出版不況や電子時代の到来などにより、公共図書館のあり方をめぐる議論が活発になっている。従来の図書館像を大きく変える「ツタヤ図書館」の登場や、無料貸本屋と揶揄(やゆ)される貸し出し至上主義への批判など、公共図書館の現状を報告する。
天井まで続く高い書架と開放的な空間、併設されたスターバックスのカフェに、新刊書と雑誌が並ぶ蔦屋書店…。カフェでゆったりとコーヒーを飲む人たちとは対照的に、迷路のような書架の配置の前でお目当ての本を探す姿があちこちに見られた。
レンタル大手、TSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となって運営する2館目の公共図書館、神奈川県海老名市立中央図書館が10月1日、リニューアルオープン。華々しい開館イベントを硬い表情で見つめるのは、CCCと共同で指定管理者を務める図書館流通センター(TRC)の谷一文子(あやこ)会長だ。「この図書館には公共図書館にある基本的な機能がない。改善点を申し入れたが、聞き入れてもらえなかった」と唇を噛んだ。