【早坂礼子の経済ウオッチング】マイナンバー前夜(4)
利用拡大でリスクも増大
日本に先立ってマイナンバー制度を導入している国もいくつかある。
隣の国、韓国の住民登録番号制度は1962年導入と比較的早い。朝鮮戦争の休戦後も南北の緊張関係が続き、北朝鮮からのスパイと自国民とを識別する必要があったからだという。政府から13ケタの識別番号が政府から付与され、韓国在住の国民は登録番号証を常に携帯していなければならない。
戸籍や住所、学歴、徴兵歴、出入国記録、保険、年金などの情報がオンラインで紐づけられ、住所変更、納税、自動車登録などの行政手続きがパソコンなど個人の端末からペーパーレスで処理できる。病院では保険証がなくても番号で受診可能だし、税務当局のサイトに自分の番号を入力すれば税金の納付額や還付額がわかるから確定申告も不要だ。不動産や自動車の取得、携帯電話の通信料やクレジットカードの決済など民間利用にも制限がないので、韓国ではひとつの個人番号を官民が共通に使っている。