田舎だから可能なのか-。著者は「違う」という。中山間地でも地縁が薄れるなか、地域の人がボランティア組織を立ち上げ、専門職がご近所さんに働きかける。互助のつながりは、都会でも田舎でも「作る」もので、空から降ってこない。今後、都会では急激に高齢者が増えるが、地方移住が提案される向きを、著者は批判する。互助は自分の周囲にためるものだ、と。
巻末には、東近江地域の専門職らの集まり「三方よし研究会」代表、小串輝男医師が言葉を寄せた。写真をカラーで見たい人は、同じ農文協の写真絵本シリーズ『いのちつぐ「みとりびと」』(國森康弘文・写真)がお勧め。(花戸貴司文、國森康弘写真 農文協・1800円+税)
評・佐藤好美