エボラ出血熱の感染を効率的に判定する新たな手法を、長崎大学熱帯医学研究所の安田二朗教授が開発した。エボラウイルスの遺伝子を増やして判定するが、これまで主流の方法に比べると、特別な機器が不要で、判定時間も従来の2時間から、30分に短縮できる。エボラが猛威を振るう西アフリカをはじめ医療設備が整っていない途上国でも使いやすく、一度に大勢の人間が往来する空港などでの防疫にも適しているという。(奥原慎平)
安田氏は、ウイルス固有の遺伝子を増やすことで判定する「RT-LAMP法」を応用した。
この手法はまず、感染が疑われる患者から血液を採取し、タンパク質を分解する酵素を含んだ液体に入れる。血液中にエボラウイルスがあっても、この時点で無毒化される。
その後、エボラウイルスの特定遺伝子だけに反応する物質(プライマー)と、遺伝子複製用の材料を混ぜる。液体を63度に維持すると、プライマーがエボラウイルスの遺伝子と反応し、エボラに特有の遺伝子が20分ほどで増加し、感染が判明する。
10年以上にわたり、エボラウイルスを研究する安田氏は「RT-LAMP法」に使うプライマーを作った。