調理にも工夫 学びの場に
6月中旬、京都市立下京渉成(しょうせい)小学校(同市下京区)。午後0時20分。2年1組の教室では給食の時間が始まろうとしていた。この日の献立は「にしんなす」を主菜に、「かき玉汁」「白ご飯」「牛乳」。
「にしんなす」は、日持ちがするように内臓などを取り除いて数日干した「身欠きニシン」を使った料理。海が遠く、生の魚をあまり食べられなかった京都ならではの伝統料理。ニシンの脂身とナスが絡み合い、しょうゆの甘辛く芳ばしい香りが立ち上る。
「いただきます」の合図とともに、子供たちは器用にニシンの身に箸を入れ、ぱくり。「おいしい」「骨も食べられる」。早速、「にしんなす」の食缶の前には、お代わりの行列ができた。
この日は保護者向け試食会も開催。24人の保護者が別室で同じメニューを味わっていた。「にしんなす」を頬張りながら、「家では作れない」。かき玉汁には「普通の卵なのに歯触りも見た目も湯葉みたい」と感心しきり。「私たちの頃とは違う」とつぶやいた。