「放射線副読本」で学び、自ら行動する力を…福島の除染問題など記載 (1/3ページ)

　学校現場で放射線について学ぶための「放射線副読本」が今年から新しくなった。東京電力福島第１原発の事故を受けた内容で、風評被害や除染の問題などにも触れている。全国８割の学校に配布されており、子供たちが放射線についての基礎知識を身に付けることが期待される。（平沢裕子）

　自然現象の一つ

　従来の副読本は文部科学省研究開発局の担当で、日本原子力文化振興財団に作成を委託し、作成に掛かる経費はエネルギー対策特別会計から出ていた。もともと原子力への理解を深めるために作成されたもので、放射線の人体影響などに詳しい専門家が監修、放射線を熱や光などと同じ自然現象の一つとしてその特性をまとめた。しかし、「原子力を推進する立場で放射線を説明している」と批判する声もあった。

　新しい副読本は同省初等中等教育局が担当し、経費には一般会計が使われている。今年２月に完成し、３月末までに希望する全国の学校に配布された。２部構成で、前半では東日本大震災によって起きた原発事故で放出された放射性物質による被害状況や食品検査・除染の実施などについて触れ、後半で放射線とは何かを学ぶ内容となっている。初等中等教育局は「東日本大震災直後に出された従来の副読本は原発事故後の状況が含まれておらず不十分、との指摘があった。この点を踏まえ、新しい副読本には原発事故後に起こった放射線による問題を盛り込んだ」と説明する。

子供たちには自ら考え、判断し、行動する力を身に付けてもらいたい