【論風】信州大学教授・真壁昭夫　目立ち始めた人手不足 (1/3ページ)

　■若年層技能訓練など施策急務

　４月１日の消費税率引き上げ以降、駆け込み需要の反動もあり、都市部百貨店の宝飾品などの売り上げは予想通り下落している。一方、価格帯の低いスーパーやファミリーレストランなどの売り上げはかなり健闘しており、今後の展開次第では、税率引き上げのマイナスがそれほど大きくならないとの見方が出ている。そうした状況下、一部分野で人手不足が顕在化している。

　つい最近まで、ハローワークに職を求めに行く人の数が、企業の求人数よりも多く有効求人倍率が１．０倍より低かった。ところが、最近の景気回復期待の盛り上がりもあり、求人の件数が顕著に増加している。それに伴い大学新卒者の採用人数も拡大し、一部のアンケートでは、来年の新卒採用人数は前年対比で１６％程度増える見込みだという。企業の採用担当者からヒアリングしてみると、「人手不足に直面しつつある」との声を耳にする。

　◆新卒採用を倍増

　昨年までは企業側では、その不足人員を中途採用することで埋め合わせる傾向が見られた。今年は積極的に新卒者を採用する傾向が目立っている。特に、流通や建設などの分野で、軒並み大幅に採用数を増やすことを予定している。有力スーパーのグループでは、昨年実績の１７５０人から２２００人程度の採用を目指すという。別の衣料系の流通企業も、昨年の約４２０人から倍以上の９５０人採用を検討しているようだ。