【ベビーシッター 迷う親たち】(上)
夜間サービス不足は深刻
ベビーシッターに預けられた男児が埼玉県で遺体で発見された事件が波紋を広げている。男児の母親がマッチング(仲介)サイトを通じてベビーシッターを依頼していたためだ。母親をとがめる意見がある一方、シッター探しの難しさを知る親らには人ごととは思えない部分もある。
「『顔も知らない人に預けるなんて』という批判はあります。でも、たとえ派遣してくれる組織と面談して契約していても顔を知らないシッターさんが来るという点は同じですから」
死体遺棄の疑いでシッターが逮捕されたと聞き、東京都内の会社員、永谷祐一さん(49)=仮名=の心境は複雑だ。
4月で3歳になる長男のため、保育所のほかにも複数の保育サービスを使い分ける。シッターの派遣契約も、インターネットで見つけた大手や病児保育を行う所の2つの事業者と結んだ。急に依頼した場合、初めて会うシッターが来ることもある。
永谷さんが長男を預けている保育所の夜間延長は午後8時半まで。午後7時半までの所が多い中、恵まれているという。それでも、自分も、会社員として働く妻(42)も間に合わない日がある。子供が熱を出せば、たとえ元気な様子でも保育所には預けられない。