【江藤詩文の世界鉄道旅】KLモノレール(1)小さな2両編成は……まるでテーマパークのアトラクション

2013.10.19 19:43

開発が進むクアラルンプール市内を、モノレールは約7分間隔で運行する

開発が進むクアラルンプール市内を、モノレールは約7分間隔で運行する【拡大】

  • 運転席は透明なプラスチック板で仕切られ、後ろに立つとレールがよく見える
  • KLタワーに近いブキッ・ナナス駅を過ぎると、乗客はぐんと少なくなった
  • 東南アジアの都市らしい渋滞。2017年には三菱重工が受注した地下鉄1号線が完成する予定だ

 クアラルンプールのふたつのランドマーク、ペトロナス・ツインタワーとKLタワーの勇姿を求めて、やや霞がかった車窓に目を凝らすと、ぐらりと身体が揺れた。

 2両編成の小さなKLモノレール。市内の中心部を片道約20分・11駅でつなぐ。高架鉄道「LRT RapidKL」や近距離鉄道「KTMコミューター」など鉄道網が発達したクアラルンプールは、タクシーを使わなくても意外と街を歩きやすい。

 モノレールは市内きっての繁華街ブキッ・ビンタン駅を通るため、車内はすし詰め状態だ。流行のファッションに髪を隠すスカーフを合わせたマレー女性のスタイルが、独特の雰囲気を醸し出す。

 ときどき大きなカーブがあり、そのたびに、車内に小さな声が上がったり、笑いがこぼれる。大きな窓とカラフルにペイントされたベンチシート。この楽しげな空気を、どこかで体験したような……。ああそうだ。大型テーマパークで、パーク間を結ぶモノレールに似ているのだ。

 そう思うと、サングラスをかけ、音楽を口ずさみながら指でリズムをとる運転士まで、テーマパークのキャストに見えてくる。

 観光用ではなく、市内の渋滞を緩和するために造られたというモノレール。列をなすクルマを見下ろし、すいすい追い抜いていく優越感が、なかなか乙な気分にしてくれた。

 取材協力/マレーシア政府観光局

 ■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。

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