2013.10.17 05:00
安倍晋三首相は16日の衆院本会議で、国家戦略特区構想の中で、雇用特区が解雇を簡単に行えるといった批判があることに対し、「解雇特区といったレッテル張りは事実誤認で、不適切だ」と語った。首相の所信表明演説に対する民主党の海江田万里代表の質問に答えた。
安倍首相は「政権の基本方針は成熟産業から成長産業への失業なき円滑な人材移動」と述べ、雇用改革の必要性を説明した。雇用ルールを明確にすることで、企業が若者や女性の雇用を増やし「戦略特区は雇用拡大を目指す」と強調した。
戦略特区構想では、雇用特区が最大の焦点になっている。特区制度を検討する政府の有識者会議「国家戦略特区ワーキンググループ(座長・八田達夫阪大招聘教授)」では、経営側と労働者が事前に契約をかわし、条件や手続きを明確にすれば、解雇しやすくなるというルールや、有期雇用5年を超えた人が無期契約になる権利をなくすといった制度の導入を目指している。外国企業の誘致やベンチャー企業の設立をしやすくする狙いだ。
これに対し、解雇しやすいことが前面に出てくることで、「解雇特区、ブラック企業特区につながる」といった指摘もある。連合の古賀伸明会長も「ルール違反」と表明するなど、労働組合側も強く反対する。労働行政を所管する厚生労働省からも抵抗が大きく、政府内でも方針一本化はできていない。
そういった中での安倍首相の国会答弁は、雇用を含めた戦略特区を一気に進めたいとする強い思いの表れだ。必要な法案を11月中旬にも閣議決定し、臨時国会に提出する予定だが、成長戦略で、実行力が重要とする安倍政権にとって、雇用特区を含めた戦略特区を進められるかが、その試金石になりそうだ。