さまざまな世帯が暮らすなかでコミュニケーションの場となる「シェアライブラリー」。シェアハウスのようなスペースを目指している(旭化成ホームズ提供)【拡大】
2世帯住宅が脚光を浴びている。東日本大震災で流行語にもなった「きずな」が一因と思いきや、実はそうした動機は一部に限られているという。2世帯住宅が注目されているのは共働き世帯の増加や所得の伸び悩みなど子供夫婦が抱える“切実な現実”にある。
嫁姑の煩わしい家族間の人間関係を避けるため、玄関はもちろんのこと、台所や浴室も別々-。2世帯住宅にこんな印象を抱く人は少なくない。
しかし、いわゆる「完全分離型」の2世帯住宅は今では少数派だ。最近の2世帯住宅は玄関や浴室、階段などを共有した「部分共用型」が主流という。「孫の面倒や家事を手伝ってほしい」と考える子世帯の意向をくみ、親世帯と一緒に食事やコミュニケーションをとる部屋を設けた間取りが増えている。
こうした2世帯住宅の変化は、子世帯の生活実態を反映したものだ。長引く景気低迷で現役世代の所得は伸びず、共働き世帯が増えてきたが、「保育所の待機児童など核家族の生活では難しい場面があることは確かだ」。旭化成ホームズの広報担当者は、2世帯住宅が注目される理由をこう説明する。