【高論卓説】ノーベル物理学賞、湯川秀樹の実父 (3/3ページ)

 小川の三男、秀樹は物理学を志した。湯川家に養子に行き、湯川姓を使うようになる。彼は、当時の素粒子論の流行を追わずに中間子論を独創し、日本で初のノーベル賞を受賞した。湯川の独創に実父の小川の背中を見る思いがする。

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【プロフィル】戎崎俊一

 えびすざき・としかず 独立行政法人理化学研究所戎崎計算宇宙物理研究室主任研究員。東大院天文学専門課程修了、理学博士。東大教養学部助教授などを経て1995年から現職。専門は天体物理学、計算科学。